思い出したこと
少し時間さかのぼります。
まだ不倫を泳がせていた時のこと。
探偵にお願いした旅行の2週間くらい前かな?
もう夫に対しては『キモい』としか思ってなかった時。
夫の会社の同僚が、
突然亡くなった。
その同僚はまだ若く、
45歳くらいかな?
私ももちろん知ってる人。
夫と私が出会った頃、
しょっちゅう夫と一緒に飲んでいた。
もちろん私たちの結婚式にも来てくれて、
二次会の幹事もやってくれた。
お互いに転勤があり、
最近は別々の県にいたので、
夫も仕事でたまに会うくらいだった。
私は結婚式以来会っていなかった。
亡くなる2週間前くらいにも、
夫が出張に行った時に、
偶然その同僚に会って駅まで送ってもらったんだ。
って話しを聞いたばかりだった。
働き盛りで、
とてもみんなから好かれる営業マンだった。
私の印象も、彼はいつも笑顔だった。
お酒が大好きで、酔っ払ったところしか見たことがないくらい。
ちょっと変わったところがあり、
自身のこだわりが強く、
面白い人だな~なんて思ったことがあった。
まだ独身で、
転勤先では一人暮らし。
お酒好きなので、
毎日飲み歩いてたとか。
ある週末、
恐らく飲みに出掛けたんだろう。
突然道端で倒れたそうだ。
通りがかりの人が救急車を呼んでくれて病院に。
そこからは意識が一度も戻らなかった。
昏睡状態のまま一週間。
絶望的だということで延命処置をやめたそう。
彼が亡くなった朝、
夫の携帯に会社から電話があり、
その報告を聞いた。
電話を切った夫は泣いていた。
泣いている姿を見て、
何て声をかけたらいいか…
だけど私も悲しかったし、
その時ばかりは、
憎い夫が、
憎いと思えなかった。
妻として、
夫が悲しんでいるのを、
放っておけない気持ちになった。
やっぱりまだ情が残ってるからね。
『好き』ではないけど、
これが『情』なのだと思った。
葬儀告別式は夫の地元と同じA県。
そのA県には不倫おばさんもいる。
しかも同じ会社の人間となると、
きっと葬儀にも行くだろう。
と思ったが、
同僚の最後に、
会いに行った方がいい。
と、
私からA県に行くことを進めた。
ちょうど週末だったのもあり、
夫はその日のうちに、
A県へと向かった。
不倫おばさんと会うんだろうな。
会わなくても、近くに行くことだけで、
二人で浮かれるんだろうな。
よく考えたら、
今の夫は、
そんな悲しい時には、
妻の私より、
不倫おばさんの方に、
そばにいてほしいんだろうな。
と、思った。